浮かぶように咲く花・・・、ティルトマウントで撮った撮影例です。
今回は、一つの平面上にある、近くと遠くの両方の被写体にピントを合わせた写真を紹介します。
撮影例は、前回のピント面を自在に操る:シャインプルーフの原理でも紹介しています。
撮影例
以下の5例は、いずれも AF-S NIKKOR 50mm f/1.2sでの撮影です。F値の小さい方がボケが大きく、効果が大きいですね。なお、レンズの傾け方により、極端なケラレが出た場合や周辺減光が大きい場合にはトリミングしています。
最初の3つの例は、ピントの合う平面(ピント面)を手前に広がる花の面とした例です。その結果、花の面上にある、近点から遠点までピントを合わせることができます。
2015年5月、ピント面は花の面に。下に転がる石ころだけでなく、チューリップの茎もボケてしまい、ペアのチューリップだけが浮かぶようになりました。近くの花にも遠くの花にもピントが合っています。
2016年4月、球根育成用に畑で咲いていたチューリップです。ピント面は中程度の高さの花に。わずかな高さの差ですが、同じ距離にある花でも、ボケてたりボケてなかったり、不思議な写真になりました。
2015年秋のヒガンバナ。これも花の高さの面でピントがあっているので、手前から奥まで、花だけがくっきりです。背の低い花や、下に散らばる枯れ葉などはボケて見えません。妖艶な赤だけが浮かぶようになりました。
ピント面を、帽子と桜葉、そして青空へと続く面とした例です。希望の位置にピントを合わせるため、レンズの傾け方を調整しながら、立ったり座ったり、試行錯誤でした。2015年7月、麦わら帽子と青葉の間からのぞく青空が、夏らしい日でした。
人をぼかすため、あえてパラソルからヨットの帆に続く平面でピントを。水平線にも合わせたかったのですが、女性がはっきりしてしまいました。青と白からできていた、2016年の夏の海辺でした。
次は、 CONTAX Planar T*85mm F1.4 AEG のティルトで。85mm と中望遠なので、わずかなティルトで効果がでます。
桜並木、ピント面を、背より高い位置で咲く桜の面に合わせ、下を歩く人や、ごつごつした老木をぼかしています。人が多い場面でも、簡単に人の顔をぼかせるので、便利ですね。2018年4月の撮影です。