前回は、玉ボケのゴミの原因の一つは、レンズ前面にあるゴミと紹介しました。
しかし、レンズ前面にあるゴミが、本当に玉ボケの中に写り込むのでしょうか。そのあたり実際に確認してみました。
また、応用として、無限遠からの太陽光を前ボケにする方法についても紹介します。なにもいいことはありませんが(笑)。
そもそも、前ボケとは、ボケを作る光源がピントの合う位置の「前」にあるということ。無限遠が前にあるとは、いったいどういうことなのでしょう。
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レンズ前面のゴミはどう写る?
位置関係をはっきりさせるため、ゴミに加えてハートマークも描いてみました。
ハートマークを描いてみると
レンズ前面に、いくつかのゴミとにハートマークを書いたガラス板をおいて、遠くの点光源を撮ってみます。
レンズは、トリオプラン( New Trioplan f2.8/100)で、開放での撮影です。
下のように、玉ボケにハートマークなどが写りこんでいます。一番右のはっきりしない玉ボケにもぼんやりと見えます。
後ろボケなので、ファインダーから見たガラスのハートマークなどと、撮影した玉ボケのハートマークの位置関係は同じです。
書いた模様はレンズ直径の半分ほどのサイズです。実際は、ほぼ全面に拡大されて現れています。また、模様を動かすと、その位置によっては、レンズ前面にあっても、玉ボケには現れません。
これは、前回も説明したように、レンズ全面に入る光が玉ボケとなっているわけではないからです。
前ボケと後ろボケを区別してみる
前回、前ボケと後ろボケでは、写ったボケの上下左右反対になると説明しました。この関係を利用すると、前ボケと後ろボケを区別することができます。
写真は、例年より遅く咲いた今年のヒガンバナです。玉ボケの中に、シベの影が見えます。
これは、レンズ前にあるシベでしょう。レンズの前面に物があると、ゴミのように玉ボケの中に写り込む場合があります。
後ろボケ
白い矢印で示した玉ボケは、シベ先の位置関係が映像のシベと同じ向き(上下左右反転していない)なので、前に説明したように、これは後ろボケ(後方にある水滴の玉ボケ)ですね。
前ボケ
一方、下の写真の白い矢印あたりの玉ボケは、シベ先の位置関係が上下左右反転しています。なので、こちらは前ボケ(前方にある水滴の玉ボケ)でしょう。
無限遠からの太陽光を前ボケに
通常、水面で反射する太陽光の玉ボケを撮ると、後ろボケとなります。それは、太陽は無限遠にあり、常に一番後ろにあることになるからです。
ここで紹介するのは、その太陽光のボケを、前ボケとして撮る方法です。ボケの中に写り込むものが上下左右反対になります。
撮影場所は、アサザが繁茂し、太陽光が水面で反射する水辺です(左)。
レンズ(マクロ90mm、 SONY FE 90mm F2.8 Macro G OSS )の前に小さなカタバミの花を置いています。その位置関係は、写真(右)のとおり、左下から上へ、です。
通常の後ろボケ
後ろボケなので、ボケの中の花は上と同じ位置関係です。なお、このレンズの玉ボケは真円とはならず、多角形気味ですね。
トリミングはありません。花の写り込んでいない玉ボケもあります。ピーキング(ピントの合っている位置の輪郭が光る)機能で、光っている花もありました。
玉ボケの中のカタバミの花は下から上へと咲いています。
無限遠の太陽光を前ボケに
次も上と同じところを撮っています。しかし、写り込んだカタバミの花は、上下左右反転しています。これは、前ボケの位置関係ですね。
玉ボケの中のカタバミの花は、上下左右が反転し、上から下へと咲いています。
合焦位置は無限遠の点光源の奥になりますが、無限遠を超えることはありえず、実際は合焦位置の存在しない、どこにもピントが合っていない写真になります。
最後に
今回のシリーズ、ゴミがテーマなので、ゴミが入った写真が必要です。しかし、そんな写真はほとんど保存されていませんでした。
まあ当然なんでしょうが、そういうダメなのは現像段階で選択し、削除してしまっているのです。
今後の参考のためにも、特に目立つような失敗作は残しておいたほうが良さそうです(笑)。