前回の「現像が前提、花火を美しく撮る方法」は、教科書的なオーソドックスな花火の撮り方でした。
今回は、アート的な花火の撮り方です。三脚やリモコンシャッターは使いません。むしろ、積極的にカメラを動かします。
カメラが2台あれば、1台目は三脚を使い、2台目はフリーに遊んでみるのも手です。
教科書的な花火の写真は、たくさん見かけますが、こちらは予想外に面白い映像になります。ただし、なかなか思い通りには行かず失敗も多くなり、また、同じ写真は2度と撮れません(笑)。
大空のハープ
夏の空に大きく広がる、流れるような繊細なラインが美しいですね。90mmマクロ( SONY FE 90mm F2.8 Macro G OSS)を動かして。
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カメラとレンズ
カメラ:撮影サイズが大きいと、トリミングしても十分な大きさが保てます。できればフルサイズがおすすめです。
レンズ:撮り方によって2種類に大別でき、レンズも異なります
1)レンズを動かす場合
100mm程度の望遠レンズで、絞りを絞るので、開放F値の大きい(暗い)、ズームレンズでもかまいません、花火の一部を切り取ると面白い表現ができます。
2)ぼかす場合
広角でもいいのですが、焦点距離が長く、開放F値の小さい(明るい)レンズほど、ボケが大きくなります。
ただし、ある程度、花火らしい円(円弧)が残っていないと、花火なのか街なかのネオンなのかわからなくなります(笑)。下はギリギリですね。新トリオプラン100mm(New Trioplan f2.8/100)で。
減光フィルター:
1)レンズを動かす場合
使いません。
2)ぼかす場合
絞りをあけるため、明るくなりすぎます。NDフィルターで光量を調整するといいでしょう。たとえば、ND8を使うと、光量は8分の1になります。絞り値F2.8の場合、ボケ具合はF2.8のまま、光量としてはF8相当に絞ったことになります(絞り値は平方根で変化し、 倍相当になります)。
三脚:
カメラを自由に動かすので、不要です。手持ちですが、動かし方によっては、1脚があれば便利です。回転技には使えませんが(笑)。
リモコンシャッター:不要です。
予備(モバイル)バッテリー:撮影が長時間に渡る場合は、予備のバッテリーかモバイルバッテリーがあったほうがいいでしょう。
カメラの設定や撮影条件
ISO:100にします。
撮影モード:バルブ撮影です。
ファイル形式:現像が前提なので、RAWです。ホワイトバランスは現像で調整します。 絞り:
1)レンズを動かす場合
F8またはF11です。
2)ぼかす場合
減光フィルターを使い、開放にします。→上の「減光フィルター」参照。
手ぶれ補正:OFFにします。ONにすると、花火の光跡が不自然になる場合があります。
ノイズリダクション:処理に時間がかかり、シャッターチャンスを逃すので、OFFにします。
ピント:AFで花火に合わせるか、MFでピントを動かします。
シャッター:タイミングは、開いた瞬間の直後にシャッターを押し、花火が開ききった時に離します。開いた瞬間は、花火の芯が明るすぎて繊細なラインをじゃまします。芯を外すのも一つの手です。
アート花火の技
以下の技を、使います。予想外の仕上がりになります。複数技を使ってもいいのですが、ごちゃごちゃとした感じになります(笑)。
むしろ、花火の種類によって、技を変化させたほうが美しいアートになりますね。
1)ラインを表現する場合
カメラを動かす
一番のポイントです。重要なこととして、
流れるように動かす:早くても遅くても、スムーズに流れるように動かすと、美しいラインになります。スピードに緩急があると、不自然になります。
光跡は上下左右逆に映ります:カメラを右に動かすと、花火の光跡は、左に流れます。
回転:中心をぶらさないのは意外と難しいですね。
流れるように、とはいっても、早すぎると花火なのか、何なのかわかりませんね(笑)。90mmマクロで。
ピントを動かす
前回の「現像が前提、花火を美しく撮る方法」の撮影例で紹介した方法です。
フォーカスアウト:ピントを合わせた位置で撮影後、ピントリングを近距離側に回します。先端が丸ボケになった写真になります。
フォーカスイン :ピントをずらした近距離の位置から、花火にピントを合わせます。先端が細くなった映像になります。
焦点距離を変える
露光間ズーム:ズームレンズでは、撮影中にズームレンズを動かします。
2)ぼかす場合
単にピントをずらすだけです。シンプルですが、手前に浴衣女子を入れたりすると、美しい仕上がりになります。ありがちですが(笑)。
撮影例
以下は、90mmマクロ( SONY FE 90mm F2.8 Macro G OSS)での撮影例。
絞りは開放F2.8ですが、ND8フィルターを使用しているので、ボケ具合はF2.8のまま、光量としてはF8相当に絞ったことになります。
ネオンサイン
左右に振ってできた細部まで美しいライン。 もう一度、といわれても、再現できません(笑)。
真夏のショータイム
小刻みに素早く動かすのがコツです。小さな点々、花火の名残りがいいようですが、それは意外と暗くて使えません。。。
シャッターを押している間は、カメラは流れるように動かすこと。躊躇すると、心の迷いが出ます(笑)。
大空の花
フォーカスをずらして。
夏の星空
フォーカス移動、小さな点が星のようです。浴衣女子を重ねてみました(笑)。イラストは、イラストACのまぁくさんから。
以下は、新トリオプラン100mm(New Trioplan f2.8/100)で。こちらも絞りは開放F2.8で、ND8フィルターを使用しています。
アートなヒマワリ
どうしたの?、といわれても(笑)。
アートなヒマワリ_2
芯は明るすぎるので、外したほうがいい場合も。
太陽系
明るすぎる芯です(笑)。
フォーカスリングを動かしているようですが、どう動かしたかは不明です(笑)。
空のダリア
いくつも重なる丸ボケ。
イメージはスイカ
ぼかしすぎると、何かわからなくなります。玉ボケもほどほどのサイズに。
以下はズームレンズ( E 18-200mm F3.5-6.3 OSS )で。F8でフィルターは無しです。こちらは、三脚使用です。
夏の七色
フォーカスアウト。先端が丸くなります。
菊の大輪
少しだけ先端が丸く。
チリヂリ
レンズが微妙に動いて、ぶれたラインに。