データ復旧が不可能で、東京・富山2往復の旅をして、戻ってきたHDD、せっかくなので捨ててしまう前に、完全分解してみました。
今度は、丁寧に取り扱う必要がないので、多少無理しても安心です(笑)。何かの参考になればいいのですが。
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ケース解体
機種名は、バッファローのHD-LB2.OTU3J です。今は製造中止になっています。静音化のため、冷却ファンが無い仕様です。オプションで付けることもできました。
最初に、外側の黒いプラスチックケースを2つに分割します。ネジはなくて、ツメを順番に外していきます。
ケースからHDDの本体がとりはずせます。左は金属のトップカバー面で、右は基板面。
トップカバーの表示は以下の通り。外観はバッファローですが、中はSEAGATE です。
メーカー:Seagate
シリーズ:Barracuda
型番:ST2000DM001
型番で検索すると、以下の情報が確認できました。
容量:2000MB (2TB)
接続:SATA6G
キャッシュ:64MB
回転数:7200 rpm
その他:3.5インチ、製造はタイです。
HDD本体外側、裏面についていた基板。上右は、SAMSUNGのキャッシュメモリ。中央、一番大きいのが、HDDコントローラ、SEAGATE の LSIチップ。左下の四角(SEAGATEのSMOOTH)は、モーター制御ドライバーです。
HDD本体の開封
金属のトップカバーをとめているのは、下の写真にあるように6角形の星型の特殊形状のネジ。トルクスという特殊なドライバーが必要です(ここのサイズはT8)。余計な費用がかかりました(笑)。
下は、外したトップカバーの裏面。密閉性を高めるため、周囲には、シリコンパッキングがほどこされています。
ただ、色がやや薄黄色に変色し、わずかに亀裂が生じている箇所(赤の矢印)が2箇所ありました。下の方眼メモリは5mmです。
下は、トップカバーを取ったところ。
プラッター(磁気ディスク)やアクチュエータなどがみえます。広範囲の磁性体剥離・・・と言うわりには、ブラッター面は鏡面でピカピカです。2枚重なっています。磁気ヘッドは、シッピングゾーンにとどまっています。
ここからは、より小さなトルクスネジ(サイズはT6)でとめられています。
下は、HDDケースの隅に入っているフィルター(循環フィルター)です(上の写真では右下の赤い矢印)。
こんな隅っこにあって効果があるのか・・・、と思うのですが、プラッターの高速回転によって内部の空気が循環し流れ込むことで、ゴミやチリなどが引っかかるようです。取り出したフィルターは汚れもなく、真っ白でした。
乾燥剤としているサイトもありますが、メッシュの内部には白い繊維が詰まっているだけで、乾燥する機能は無いでしょうね。
取り出したプラッター。厚さは1mmほど。右側の内側に、リング状の傷があります。下地の方眼メモリは5mmです。
しばらくコースターとしても使った後なので、細かい傷や指紋などがついてます(笑)。
位置決め装置のアクチュエータと、その先端にある書き込みヘッド部分。2枚のプラッターを挟むように、4本出ています。外す時に無理したので、ぐちゃぐちゃにゆがみました。黒い四角が書き込みヘッドです。
ヘッドとプラッタ表面の隙間は、わずか10nm(ナノメートル)だそうです。タバコの煙よりも小さく、細かなゴミが異状の原因になる理由ですね。
左は、アクチュエータを挟むネオジム磁石。かなり強力です。中央は2枚のプラッターの中間にあったプラ板。右はプラッターを抑えていた金具。
ボロボロの呼吸フィルター
HDD内部を密閉し、チリやホコリの侵入を防ぐため、ネジ部分には、写真にあるような丸い金属(アルミ?)シールが貼られ封印されています。
空気孔
HDD内部は、密閉(固体の侵入を防ぐ)であって、気密(固体と液体を防ぐ)でも、密封(固体・液体・気体を防ぐ)でもありません。
気圧調整のための空気孔があります。下左の写真は外側から。赤い矢印の先にある小さな孔が空気孔です。
ここから空気を取り入れることで、プラッターの高速回転で、ヘッドをわすかに浮かせることができるのです。
最近は、ヘリウムガスを充填し、空気孔が無いタイプもあります。ヘリウムガスの封入で空気抵抗が減り、ヘッドのフラつきが少なくなり、プラッターを薄くして枚数を増やせるメリットがあります。修理が大変そうですが。
呼吸フィルター
右の写真は孔の内部側、矢印の先の白い四角は、呼吸フィルターでしょう。プラッターの下にあり、白いテープで覆われています。表面がやわらかくて壊す時に少し傷がつきました。
テープを剥がしてみると、内部の黒い部分はボロボロに。元の状態が不明なのでなんとも言えませんが、化学繊維だから無理も無いのでしょう。
シールテープでおおわれているので、内部にもれ出ることはないとは思いますが、ちょっと不安ですね。
左は内側の接着面側。表面はヒダ状というか、凹凸になっています。右は外側で、被覆を破ったところ。ボロボロになった内部の黒い部分が飛び出しています。
最後に
昔、HDDタイプのビデオレコーダーが壊れたことがありました。終夜連続運転になっていてファンのあたりに大量のホコリがつまって、ファンが動かなくなったのが原因です。。。
ちなみに、PCのHDDで、放熱やファンで冷やしているのはディスクを覆う金属板で、空気中のチリやホコリなどがHDD内部には入ることはありません。
しかし、くたびれたパッキンやボロボロのフィルターを見てると、ちょっと心配になってきますね。金属部品の耐久性が向上しても、ケミカルなパーツの経年劣化は避けられないのでしょう。
さてさて、HDDが壊れたのを機会に、データのバックアップ体制を考えてみました。泥縄というかあとの祭りの感もありますが、ポイントは、オンラインの利用と、自動化(ミラーリング)、ミス防止ですね。このあたり、次回に紹介します。