今回のオールドレンズの紹介は、CONTAX Planar T*85mm F1.4 AEG。ヤシカの高級カメラ(コンタックス)用に開発された、カール・ツァイス製のレンズ(プラナーブランド)です。
ずしりと重い85mmなので、室内ポートレート向きのようです。しかし、フィールドでも実力を発揮します。特に、澄んだ空気でコントラストが強めのシーンでは、クリアで美しい描写となります。逆に、どんよりの曇り空では、ほとんど使いません(笑)。
AEGで初期型。末尾がGですから、西ドイツ製ですね。F4あたりまで絞り羽根がギザギザの手裏剣状になるのが、この時期の特徴です。
主な仕様など
レンズ名:CONTAX Planar T*85mm F1.4 AEG
CONTAX Carl Zeiss PlanarT* 85mm F1.4 とも言うようです。
発売:1975年
マウント:ヤシカコンタックスマウント
フォーカス:マニュアル
レンズ構成:5郡6枚
最短撮影距離:1m、ヘリコイドアダプターを使えば近づけます。
重量:595g
フィルター径:67mm
その他:CONTAX Planar T*85mm F1.4には、AEタイプ、MMタイプがあり、AEタイプは初期型。AEは、絞り優先AEの意味ですが、今のカメラでは無関係のようで。末尾のGは、発売当初の西ドイツ製の意味で、絞りの形状がF4あたりまで手裏剣型です。後に日本国内生産に移管したときに絞りの形状が改善されたようです。
2014年11月、ヤフオクでドイツの方から購入しました。
コンタックスとプラナー
コンタックスというブランド名
コンタックスは、最初は、カール・ツァイスが使用していたのですが、使われなくなり、1974年、日本のヤシカと共同したブランドとして復活します。
ヤシカのカメラで、カール・ツァイスのレンズを使った高級カメラブランドとして復活したのです。通称、ヤシカ・コンタックス(ヤシコン、Y/C)ですね。
そして1983年、ヤシカは京セラに吸収合併されます。しかし、その京セラも、2005年にカメラ事業から撤退することとなり、またまた休眠ブランドとなっているのです。
プラナーというブランド名
プラナーは、カール・ツァイスのレンズブランドで、各社のカメラ用が発売されています。SONYのEマウントにも、Planar T* FE 50mm F1.4 ZAがありますね。
「平坦」という意味の名の通り、周辺部でも像が平坦なことが特徴とされています。
撮影例
黄色いキンポウゲと、背景はサトザクラ(関山)、サクラをある程度はっきりさせるため、F5.6まで絞っています。なので、ボケは八角形になっていますね。
独特の手裏剣型のボケ(左、F 2)と多角形ボケ(F 5.6)。
クレマチス・「さくらさくら」。開放F1.4で、しべ以外はボケてます。
似たような焦点距離のマクロ90mmと撮り比べ。左がプラナー85mm、F1.4。右は SONY FE 90mm F2.8 Macro G OSS、F2.8。シベはクリアで、背景のボケ方が若干違います。
紅白が美しいボタン・「島錦」。開放F1.4で、逆光気味ですが、なんとか。
以下は、ティルトマウントを使っています。ティルト効果のためというより、普通のマウントアダプターが不調で無限遠が出ないため(笑)。また、全て、開放です。
冬の晴れた日など、空気の澄んだシーンでは、クリアで透明感のある描写という、その実力が発揮されます。
桜並木。ティルトマウントなので、ピントは桜の花だけに。人はうまくぼかせます。
サルスベリの実についた雪。コントラストが強めのシーンでは、美しい光を描き出します。
おわら風の盆・八尾町諏訪町で。さすがに暗く、F1.4開放で1/60秒、ISO 3200です。ティルトマウントの効果で、手前から奥の踊り手の顔の平面にピントが合っています。
紅葉の描写も美しい、岩瀬スポーツ公園で。
森のクリスマスツリー、上市町の森の中で。
晩秋のガクアジサイ。
ナンゴクヤマアジサイの名残り。