レンズを絵筆に、光を絵具に

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おだやかな秋の日が似合うレンズ:Jupiter-9

レンズ紹介、3本目にしてようやくオールドレンズ、Jupiter-9(Jupiter-9 85mm F2 )の紹介です。春なのに、「おだやかな秋・・・」というタイトルも変ですが。小春日和・・・にすれば、「春」つながりかな(笑)。

比較的安価なので、わりと出回っているレンズだと思います。ただ、85mmあたりの焦点距離には、いろいろと個性的なレンズが多いので、なかなか出番がありません。

開放ではソフトで、どちらかというと控えめなボケはやわらかく、グルグルボケなどはみられませんね。

 

目 次

 
 

 

Jupiter-9、プリセット絞りで、絞りに関するリングが2つあります。

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Jupiter-9

 

入手経緯など

Jupiter-9 は、カール・ツァイスのコンタックス・ゾナー(Contax Sonnar、85mm F2)をベースに設計されたロシア製のポートレートレンズです。コピーレンズという話が多いのですが、ゾナーを再設計した改良レンズとされています。

 

2014年秋にヤフオクで落札しました。15,000円ほどに送料でした。

本来のマウントはM42のスクリューマウントなんですが、私のレンズは、ニコンFマウントに改造済です。Fマウント用のアダプターは豊富なので助かりました。最短撮影距離が0.8mと長めなので、たいていはヘリコイドアダプターを付けています。

 

 

開発経緯

話は、第二次大戦後までさかのぼります。 対戦に勝利したロシアは、ドイツ、カール・ツァイスの技術力を手に入れ、カメラ産業を発展させていきました。

その際、ツァイスの設備や技術者(マイスター)もろともロシアに移し、技術指導させたのです。

Jupiter-9 もそのひとつで、ツァイスのコンタックス・ゾナーのただのコピーではなく、再設計・改良したレンズとされています。 

参考:コンタックス・ゾナーの末裔達2:LZOS MC Jupiter-9 85mm F2 (M42)

 

なお、木星(Jupiter)シリーズには、以下のシリーズがあります。

 Jupiter-3 1.5/50、復刻レンズ(New Jupiter 3+ 1.5/50)もあります。 
 Jupiter-6-2 2.8/180 
 Jupiter-8 2/50 
 Jupiter-9 2/85 
 Jupiter-11 4/135 

 

主な仕様など

名称:Jupiter-9 85mm F2  、普通は「ジュピター」と発音します。
発売:1950年 (KMZ社)
絞り:プリセット絞り
絞り羽根:15枚
最短撮影距離 (m):0.8m
マウント:M42、 私のレンズは、ニコンFマウントに改造済です。
フィルター径 (mm):49mm 
質量 約(g):380g
その他:私のレンズは、シリアルナンバーからすると、1988年の製造です。LZOSと聞いているので、LZOS(ルトカリノ光学硝子工場)が生産した Jupiter-9 シリーズの後期型のようです。
 

 

 

 

撮影例

全て開放での撮影です。

ポートレートレンズなので、お地蔵さんを(笑)。

開放のソフトな感じとゆるいボケ方です。現像では、ほとんどノータッチですが、暖色系の豊かな発色、おだやかな秋の日が似合うレンズですね。

 

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五百羅漢さん

 

強い木漏れ日からの点光源だと、わりとクリアな玉ボケに。

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おだやかな秋の日:五百羅漢

 

境界のはっきりしないゆるい玉ボケが、このレンズ本来の特徴かな。

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モミジ葉

 

そして、冬の日も。開放ですが、絞れば手前の枯れ草、もっとクリアな描写でしょうね。

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冬の浜辺