秋も深まってきて、平地でも紅葉のシーズンですね。明るい秋の青空と紅葉に染まる山々、両方とも美しく撮りたいところ。
今回は、そんな時に便利なハーフNDフィルターを紹介します。
ハーフNDフィルターとは
機能
全体の半分だけ減光機能を持つフィルターです。
被写体の明暗差が大きい時、被写体の明るすぎる部分にハーフNDフィルターの暗い部分を当てて光を減光させ明暗差を少なくします。
種類
ハーフNDフィルターには、透明部と境目のグラデーション処理がはっきりしたハードタイプと、ぼやけたソフトタイプ、そして中央部分が一番暗いリバースがあります。
材質はガラスだけでなく、樹脂製もあります。ただし、樹脂製は静電気でホコリが付きやすいようです。
また、減光度合いは基本三種類で、絞り一段(ND2)、二段(ND4)、三段(ND8)分です。それぞれ光量は、1/2、1/4、1/8になります。
使用例
写真は、有峰付近の紅葉です。
山肌の紅葉に露出を合わせると、明るい秋の空は青白くなってしまい、逆に空に露出を合わせると、山肌は暗くなってしまいます。
そこで、ハーフNDフィルター(ND8)で空側の光量のみを1/8に減らし、深い青と紅葉の両方を鮮やかに表現します。測光モードは、マルチです。
角型フィルターの手持ちなので、山の稜線に合わせてNDフィルターを傾けています。
角型フィルターが便利
円形よりも角型が便利です。被写体に合わせて、上下に動かしたり、斜めに使ったりすることができます。
手で持って使用する場合
フィルターを手で持って、レンズの前で使用する方法です。私は動かしやすいこともあって、手に持って撮影しています。
ホルダーの必要がなく、斜めに使ったり、微妙に位置を変えたり、違うレンズにもすぐ使えるなどのメリットがあります。
一方、左手を使うので、ズームレンズでのズーム動作が難しくなります。また、レンズフードを付けているとフィルターの反射光が写ったりすることがあります。
ホルダーを使用する場合
フィルターをホルダーに固定して使用する場合、用意するのは以下のパーツです。
1)角型フィルター
2)フィルターホルダー(フィルターを保持)
3)フィルターホルダーをレンズに装着するアダプター(口径72mm)
72mm以外のレンズに装着する場合は、ステップアップリングで調整します。
なお、今回、実際に使用したNDフィルターは、MARUMI 製(MARUMI カメラ用角型フィルター H&YグラデーションNDフィルター 100mm×125mm ND8 、下の写真)です。
幅が100mmあるので、傾けてもほとんどの口径のレンズに使えます。
リンクが無かったので、別製品を紹介しています。
1)角型レンズフィルター ハーフND ソフトタイプ 100×150mm ND8
3)Kenko マルチホルダーG 100用アダプターリング 72mm
現像・段階フィルターでの調整
段階フィルターの使用例
フィルターの有無の比較
海王丸パークの総帆展帆
海王丸パークの総帆展帆です。
レンズは、 Sigma 30mm F1.4 DC HSMで、フードをつけたまま、フィルターは手で持っています。絞りはF2.8で、ISO100です。船の部分をトリミングしています。
左はフィルター無し。シャッタースピードは1/6400。
右は、空の部分(三角形の帆の上あたりから上)にハーフNDフィルター使用。
シャッタースピードは、1/3200秒に。空の青が濃くなり、海の緑が鮮やかになった感じです。
次は別の日に、レンズのフードは取って、なるべくレンズの直前になるようにしています。絞りはF4です。それ以外は上と同じです。
左はフィルター無し。シャッタースピードは1/2000秒。
右は、空の部分にハーフNDフィルター使用。シャッタースピードは、1/1600秒に。
以下は右半分にフィルター使用。シャッタースピードは、1/1250秒です。
新緑の山
右がNDフイルター使用。手持ちで、山の稜線に合わせて斜めに使っています。
空の青が深くなっていますね。どちらも現像での調整はしていません。F2.8で、ISO100、左が1/1250秒で、右が1/640秒でした。
剱岳を望む
上市町の千石山城跡あたりから剱岳を望むシーン、下を流れるのは早月川です。空を走る電線が邪魔ですが(笑)。まだ雪が残る4月中旬の撮影です。
レンズは、 Sigma 30mm F1.4 DC HSMです。
左が未使用で、右が空の部分にハーフND使用。フードは取って、なるべくレンズの直前になるようにし、雪山の白い部分にかかるようにしています。稜線はくっきりと。
左半分使用
ハーフNDを左半分だけに使って比較してみました。空の暗さが違いますね。
左半分使用
レンズフードをつけて、フィルターを4cmほど離してみました。より有無の違いがはっきりしますね。
撮影例
夜明け前の北アルプス
下にあるのは、ただの水たまり。空と下の明るさが違ったので、空の部分にハーフNDフィルターを使用しています。
紅葉と冠雪した薬師岳。秋の空の深い青が出ています。
宇宙に届きそうな空。有峰湖です。
最後に
極端に白飛びしていない限り、現像や画像処理でも処理できるのですが、フィルターだと撮ってすぐ確認できるので安心ですね。写真コンテストなどでは、現像や画像処理が不可の場合もありますし。
なお、私のはガラス板なこともあって、手持ちだと、割れないかと気を使います。大きめで、お尻のポケットにも入れにくいですね。