レンズを絵筆に、光を絵具に

写真やレンズの話をメインに紹介するブログ

半分青い、ハーフNDフィルター

秋も深まってきて、平地でも紅葉のシーズンですね。明るい秋の青空と紅葉に染まる山々、両方とも美しく撮りたいところ。

 

今回は、そんな時に便利なハーフNDフィルターを紹介します。

 

 

 
ハーフNDフィルターとは:半分だけ減光します
角型フィルターが便利:円形より便利です
現像・段階フィルターでの調整:現像処理でも似たようなことができます
フィルータの有無の比較:比較してみました
撮影例:3例ほど

 

ハーフNDフィルターとは

機能

全体の半分だけ減光機能を持つフィルターです。

被写体の明暗差が大きい時、被写体の明るすぎる部分にハーフNDフィルターの暗い部分を当てて光を減光させ明暗差を少なくします。

 

種類

ハーフNDフィルターには、透明部と境目のグラデーション処理がはっきりしたハードタイプと、ぼやけたソフトタイプ、そして中央部分が一番暗いリバースがあります。

材質はガラスだけでなく、樹脂製もあります。ただし、樹脂製は静電気でホコリが付きやすいようです。

また、減光度合いは基本三種類で、絞り一段(ND2)、二段(ND4)、三段(ND8)分です。それぞれ光量は、1/2、1/4、1/8になります。

 

使用例

写真は、有峰付近の紅葉です。

山肌の紅葉に露出を合わせると、明るい秋の空は青白くなってしまい、逆に空に露出を合わせると、山肌は暗くなってしまいます。

 

そこで、ハーフNDフィルター(ND8)で空側の光量のみを1/8に減らし、深い青と紅葉の両方を鮮やかに表現します。測光モードは、マルチです。

角型フィルターの手持ちなので、山の稜線に合わせてNDフィルターを傾けています。

 

f:id:Paradisia:20191029063734j:plain

 

 

角型フィルターが便利

円形よりも角型が便利です。被写体に合わせて、上下に動かしたり、斜めに使ったりすることができます。

 

手で持って使用する場合

フィルターを手で持って、レンズの前で使用する方法です。私は動かしやすいこともあって、手に持って撮影しています。

ホルダーの必要がなく、斜めに使ったり、微妙に位置を変えたり、違うレンズにもすぐ使えるなどのメリットがあります。

一方、左手を使うので、ズームレンズでのズーム動作が難しくなります。また、レンズフードを付けているとフィルターの反射光が写ったりすることがあります。

 

 

ホルダーを使用する場合

フィルターをホルダーに固定して使用する場合、用意するのは以下のパーツです。

 

1)角型フィルター

2)フィルターホルダー(フィルターを保持)

3)フィルターホルダーをレンズに装着するアダプター(口径72mm)

 72mm以外のレンズに装着する場合は、ステップアップリングで調整します。

 

なお、今回、実際に使用したNDフィルターは、MARUMI 製(MARUMI カメラ用角型フィルター H&YグラデーションNDフィルター 100mm×125mm ND8 、下の写真)です。

幅が100mmあるので、傾けてもほとんどの口径のレンズに使えます。

 

リンクが無かったので、別製品を紹介しています。

 

1)角型レンズフィルター ハーフND ソフトタイプ 100×150mm ND8

2)Kenko フィルターホルダー

3)Kenko マルチホルダーG 100用アダプターリング 72mm

 
 
上で紹介した、角型フィルター(ND8)です。境目のグラデーションがぼけたソフトタイプです。

f:id:Paradisia:20190509132354j:plain

 

現像・段階フィルターでの調整

同じような調整は、撮影後、現像ソフト・ライトルームの段階フィルターを使っても可能です。もちろん、画像処理ソフトでも可能です。ただし、過度に処理すると、現像とは言えなくなるかもしれませんが。
 
段階フィルターは、選択した特定の範囲について、段階的に(グラデーション状に)補正ができる機能です。
 
方法は、
 
1)現像画面で、段階フィルターのアイコン(□)をクリックします。
2)段階フィルタを適用したい範囲にマスクをかけます。マスクを左クリックしながらドラッグアンドドロップします。斜めにかけることもできます。
効果は、グラデーション状で、マスクをかけた始点側で効果が強く、終点にかけて弱くなります。
3)「範囲マスク」を選択することで、より細かい範囲を選択することができます。
カラー、輝度、深さの3種類があります。
4)マスクをかけた範囲に対して、露光量やコントラストなどの調整を行います。
 

段階フィルターの使用例

称名滝付近の山々の紅葉です。中央のスライダーを左右に動かして比較することができます。
 
左が使用前。右は、2箇所で段階フィルターを使用しています。空の部分では感光量を下げ、右下の山の陰の部分では、範囲マスクとして輝度を使用し、感光量や黒レベルなどを上げています。
 

 

 

 

フィルターの有無の比較

海王丸パークの総帆展帆

海王丸パークの総帆展帆です。

レンズは、 Sigma 30mm F1.4 DC HSMで、フードをつけたまま、フィルターは手で持っています。絞りはF2.8で、ISO100です。船の部分をトリミングしています。

 

左はフィルター無し。シャッタースピードは1/6400。

右は、空の部分(三角形の帆の上あたりから上)にハーフNDフィルター使用。

シャッタースピードは、1/3200秒に。空の青が濃くなり、海の緑が鮮やかになった感じです。

f:id:Paradisia:20190505165041j:plain
f:id:Paradisia:20190505164800j:plain

 

次は別の日に、レンズのフードは取って、なるべくレンズの直前になるようにしています。絞りはF4です。それ以外は上と同じです。

左はフィルター無し。シャッタースピードは1/2000秒。

右は、空の部分にハーフNDフィルター使用。シャッタースピードは、1/1600秒に。

f:id:Paradisia:20191018153556j:plain
f:id:Paradisia:20191018153608j:plain

 

以下は右半分にフィルター使用。シャッタースピードは、1/1250秒です。

f:id:Paradisia:20191018154201j:plain

 

 

新緑の山

右がNDフイルター使用。手持ちで、山の稜線に合わせて斜めに使っています。

空の青が深くなっていますね。どちらも現像での調整はしていません。F2.8で、ISO100、左が1/1250秒で、右が1/640秒でした。

f:id:Paradisia:20190509135022j:plain
f:id:Paradisia:20190509135033j:plain

 

 

剱岳を望む

上市町の千石山城跡あたりから剱岳を望むシーン、下を流れるのは早月川です。空を走る電線が邪魔ですが(笑)。まだ雪が残る4月中旬の撮影です。

レンズは、 Sigma 30mm F1.4 DC HSMです。

 

左が未使用で、右が空の部分にハーフND使用。フードは取って、なるべくレンズの直前になるようにし、雪山の白い部分にかかるようにしています。稜線はくっきりと。

 

f:id:Paradisia:20190418173503j:plain
f:id:Paradisia:20190418173435j:plain

 

左半分使用

ハーフNDを左半分だけに使って比較してみました。空の暗さが違いますね。

f:id:Paradisia:20190418173537j:plain

ハーフND使用(左半分)

 

左半分使用

レンズフードをつけて、フィルターを4cmほど離してみました。より有無の違いがはっきりしますね。

f:id:Paradisia:20190418173618j:plain

ハーフND使用(左半分・離して)

 

撮影例

夜明け前の北アルプス

下にあるのは、ただの水たまり。空と下の明るさが違ったので、空の部分にハーフNDフィルターを使用しています。

f:id:Paradisia:20190501144319j:plain

 

紅葉と冠雪した薬師岳。秋の空の深い青が出ています。

f:id:Paradisia:20191028174550j:plain

 

宇宙に届きそうな空。有峰湖です。

f:id:Paradisia:20191028180730j:plain

 

最後に

極端に白飛びしていない限り、現像や画像処理でも処理できるのですが、フィルターだと撮ってすぐ確認できるので安心ですね。写真コンテストなどでは、現像や画像処理が不可の場合もありますし。

なお、私のはガラス板なこともあって、手持ちだと、割れないかと気を使います。大きめで、お尻のポケットにも入れにくいですね。