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絞りすぎてボケた・回折現象に注意:ボケとパンフォーカス(6)

パンフォーカスな写真は、絞りを絞ればいいと思われています。

 

しかし、絞りすぎると回折現象(いわゆる小絞りボケ)が生じ解像度が落ちてしまいます。このあたり、現像が前提、花火を美しく撮る方法で紹介しています。

 

フィルムカメラ時代からあった現象ですが、特に、デジタル処理が可能になってきて、拡大表示で気になるようになりました。

 

今回、どの程度の影響があるのか、実際にしぼりを絞って撮ってみました。

 

 
光の回折現象:絞るときには注意
実際の撮影(1):ISO AUTO:F16からボケる
実際の撮影(2):ISO 100:ISO AUTOと同じ結果
まとめ:カメラの回折低減処理の効果は?

 

 

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光の回折現象

下図に示すように、光には波の性質があり、その像は厳密には点にならず、回折によってある大きさの円になるのです。そのボケの直径はエアリーディスク径と呼ばれています。

 

下図はF4とF8の場合の光の強度分布とエアリーディスク径です。参考1)より。これは無収差レンズと仮定した焦点付近での強度分布になります。

 

計算によると、エアリーディスク径は、F4では5.4μ、F8では10.7μ、F22では29.5μになります。絞り具合によっては、カメラの画素ピッチより大きくなります。

 

 

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絞るほどボケ(エアリーディスク径)は大きくなります。その外側にもリング状の輪があります。

 



なお、現像が前提、花火を美しく撮る方法で、α7RIIでは、F値3.38を超えると、回折によるエアリーディスク径が、カメラの画素ピッチ(4.5μ)を超えると紹介しています(ただし、カメラ側の回折低減処理なしとして)。

高解像度で、画素ピッチが小さいカメラは回折の影響に注意ですね。

 

 

実際の撮影(1):ISO AUTO

絞りすぎるとどの程度ボケるのか確認してみました。被写体は海王丸です。

 

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撮影条件

カメラ:SONY の α7RII

レンズ:SONY FE 90mm F2.8 Macro G OSS

ISO:AUTO

その他:三脚とリモコンシャッターを使用

絞り優先で、F2.8、5.6、11、16、22の5段階、RAWファイル(圧縮)で撮影

 

現像

無処理で、 7952✗5304ピクセルでJEGファイルで出力し、フォトショップで船首近くの「海王丸」の文字部分をトリミングし出力(450✗450ピクセル)しました。

 

結 果

トリミングしない場合、ブログに投稿する程度のサイズだと、違いはわかりません。

一方、トリミング(拡大)し現像段階で確認した場合、F2.8、5.6、11が同程度で、F16、F22の順にややピントが甘くなっていきます。最終的なJEGファイル段階では、F2.8、5.6、11の劣化が少なく、F16、22は劣化が目立ちます。

 

比 較

左がF2.8(1/2500秒、ISO 100)、右がF22(1/125秒、ISO 320)です。文字のにじみ、船体表面、鋲の精細さなどが違いますね。

中央のスライダーを左右に動かして、写真を比較することができます。

 
 

 

 

下は、左からF5.6(1/800秒、ISO 100)、F11(1/200秒、ISO 100)、F16(1/125秒、ISO 160)です。

 

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実際の撮影(2):ISO 100

ISOの影響を考慮して、今度はISO 100で、後は上と同じ条件で撮影しました。ISO AUTOとほぼ同じ結果ですね。

 

左がF2.8(1/3200秒)、右がF22(1/40秒)です。

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左からF5.6(1/800秒)、F11(1/200秒)、F16(1/8秒)です。

 

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まとめ

絞ればはっきりすると思っていたのですが、今回試したレンズでは逆でした。絞り開放(F2.8)が、F16以上に絞った時よりも良い結果とは驚きです。

当然ながら、このあたりはレンズによっても違ってくると思われます。

 

なお、現像が前提、花火を美しく撮る方法で、SONYのα7シリーズでは、回折低減処理を搭載していると紹介しました。

絞り値に応じてフィルター処理をすることで、パンフォーカス撮影においても高い解像感を実現、という話です。

したがって、今回の結果は、レンズだけでなく、カメラ本体の回折低減処理効果を加味した結果となります。

ただし、その機能のON/OFFができないので、それぞれのF値でどの程度効果があるのかは不明です。

 

 

参考

1)知っておきたい撮影レンズの基礎(東芝、pdf)

 

あとがき

今回のボケ、拡大してようやく分かる程度で、ブログやSNSに投稿する程度のサイズではその違いはわかりませんね。