今回は、花火写真の現像方法についての話です。
花火は意外と明るく、開いている間シャッターを押していたりすると、白色系の花火はたいてい白飛びしてしまいます。かといって、絞りを絞りすぎると、暗くなってしまいます。
今回は、白飛びを押さえたり、逆に真っ黒な写真から花火をよみがえらせたり、また、背景や煙のノイズを抑えたりしてみます。例によって、私の忘備録です(笑)。ご参考までに。
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現像処理
現像ソフト、Lightroom Classic を使います。
仮想コピーで何通りもの現像処理(下図①)
複数の現像処理をする場合は、画像で右クリックし、「仮想コピーを作成」をクリックします。画面が増え、撮影画像を残したまま、いろいろな現像条件を試すことができます。下図①の数字は仮想コピーの数で、その右の2/2が2つ目の現像画面です。
仮想コピーなので、いくつ作っても条件データが増えるだけで、画像容量自体は増えません。
また編集画面の左下をクリックして画面分割し、編集前後を比較することもできます。
現像方法
最初は、全体を調整する方法です。
1)レンズ補正(下図②)
必要に応じて、「プロファイル補正を使用」または「手動」でレンズの個性を補正します。
2)基本補正の調整(下図③)
基本的に、上から調整します。★印が特に使う機能です。
色温度:ほとんどさわりません。
色かぶり調整:ほとんどさわりません。
露光量:真っ黒な場合でも、プラスにすると花火が浮かび上がる場合があります。
コントラスト:背景が白っぽい場合はプラスにします。
★ハイライト:白色など、明る過ぎる部分の白飛びを抑える場合は、マイナスに。
シャドウ:背景を黒くする場合はマイナスに。
★白レベル:暗い場合は、プラスにして明るくします。
黒レベル:背景を黒くする場合はマイナスに。
テクスチャ:花火の繊細なラインを強調する場合は、プラスに。
明瞭度:テクスチャより強力なので、あまりさわりません。
★かすみ除去:煙でかすんだ場合は、プラスにします。
以下は部分的に修正する方法です。
3)ディテールの調整(下図④)
修正する位置をクリックして、詳細ズームに表示します。輪郭をはっきりさせる場合は、シャープの適用量をあげます。ノイズを下げる場合は、ノイズ軽減の輝度をあげます。背景や煙のノイズに有効です。
ブログやSNSに投稿する程度では以上でOKでしょうが、さらに細部を調整する場合は、以下の方法も行います。
4)段階フィルター(下図⑤)
ある範囲だけを段階的に(グラデーションをかけたように)補正することができます。 例えば、下部にいる観客だけを明るくしたりすることができます。
5)円形フィルター(下図⑥)
段階フィルターと基本的に同じですが、範囲が円(楕円)になります。デフォルトでは、円形で囲われていない範囲が選択範囲になっているので、ぽかしの下にある「反転」にチェックを入れます。
6)補正ブラシ(下図⑦)
基本補正は全体でしたが、ここでは特定の範囲について、パラメーターの調整をします。基本補正にある各項目やシャープネスの調整ができます。
部分的に調整します
⑤:段階フィルター
⑥:円形フィルター
⑦:補正ブラシ
全体を調整します。
③:基本補正
④:ディテール
②:レンズ補正
①:仮想コピー作成
以下は現像処理ではないのですが、参考までに紹介します。
比較(明)合成
複数の画像の、明るい部分(花火の部分)だけを合成し1枚の映像にできます。カメラ内アプリでも行えますが、現場でうまく重ねるのは至難の業です。フォトショップでも可能です。
合成する複数の画像を同一画面にレイヤーとして読み込み、重ね合わせ条件を「通常」から「比較(明)」に変更します。
一見、豪華な雰囲気になりますが、花火師の意図というか、花火全体としての雰囲気を壊す場合があるので、注意が必要です。
色調反転
フォトショップで行います。色調補正/階調の反転です。赤色系の反転は、水色になり、涼し気な雰囲気になります。
現像例
暗めにとって明るく
左が現像前で、右が現像後です。左右の写真、中央のスライダを動かして、比較することでできます。
この映像は、F11で、8秒です。暗めにとって明るくする、の例です。
白レベルのプラスで、暗くて見えなかった周囲に散らばる黄色い小さな花火が浮かび上がりました。
その分、ブルーの花火が明るくなりすぎるので、ハイライトをマイナスにしています。感光量やシャドウ、黒レベルは変更なしです。
上の例のヒストグラムの変化です。ヒストグラムは、横軸が輝度(左端が輝度0%で純黒、右端が輝度100%で純白)で、縦軸がピクセル量でしたね。 上が現像前で下が現像後です。
左端に偏ったヒストグラムです。白レベルのプラスで、右端に青と白のピークが出現しました。また、ハイライトをマイナスにすることで、左側の分布が左(輝度の小さい方向)へ移動しています。
白飛びの補正
F8で7秒での撮影です。左が現像前で、右が現像後です。スライダを使いたいのですが、複数使うと何故か乱れるので(笑)。
典型的に白飛びの例です。中央の花火がいくつか重なり、白くなって輪郭が不明瞭です。一方、大きな大輪は暗めになっています。
ハイライトをマイナスにすることで、白飛びしていた部分がクリアになりました。逆に白レベルのプラス補正で、大輪が明るくなっています。煙も明るくなったので、かすみ除去で暗くし、また、ディテールで輝度をプラスにして、煙部分のノイズを下げています。
テクスチャプラスの効果もあり、繊細なラインが美しいですね。
上の例のヒストグラムの変化です。上が現像前で下が現像後。ヒストグラムの分布は左右に偏った状態で、右に偏った状態が白飛びです。大輪の暗さは、中央部分に明るさが足りないためでしょう。
ハイライトをマイナスにすることで、右端の白飛びピークが消失しました。全体の分布が左へ移動し全体が暗くなりますが、白レベルのプラスでピーク全体を右へ移動しています。あまり強くすると、右端に白飛びピークが出現します。
また、かすみ除去は、ピーク全体を左へシフトします。ディテールはヒストグラムに影響しません。
こちらは、F11で5秒です。左が現像前で、右が現像後です。上と似たような現像です。赤と紫の色の違いがはっきりしてきました。
色温度の変更
こちらは、F11で14秒と長め。いくつかが重なって、白飛び気味なので、ハイライトをマイナスに、全体が暗くなる分は、白レベルをプラスに。
電灯色のイメージで、色温度を2949Kから3168Kに。スライダを使っているので、半端な数字です。
コントラストの調整
強烈な爆発の水中スターマインです。F11で8秒です。
明るすぎるのでハイライトをマイナスに、コントラストを強くすることで、海面の色とかが鮮やかになりました。
比較(明)合成
多数の色の花火を合成するより、単色系が美しいですね。主に、オレンジ系を6枚、まとめてみました。
色調反転
最初の写真の反転です。
3枚目の写真の反転です。赤い色の反転だと、涼しげな色になりますね。