私の使っている現像ソフト、Lightroom Classic に新機能が追加されました。サブスクリプション版なので、自動的にバージョンアップしてしまいます(笑)。詳細は、最新リリース(2019 年 5 月)を。
新機能、食わず嫌いでそのままにしておくのももったいないので、今回は、テクスチャー機能について紹介します。
芯を残すぼかし方:ライトルームでは、簡単に、ピントが合った芯の部分はそのままで、その他の部分をソフトにぼかせることを紹介しました。
テクスチャー機能を使うと、より自然な形で、ぼかしたり、逆に繊細さを強調できます。
Adobe Creative Cloud フォトプラン
(Photoshop+Lightroom) with 1TB
アドビの「Photoshop」と「Lightroom」が使えるオンラインコード版(定額制サービス)です。コードを入力すればすぐ使えます。アプリの買い取りシステムはなくなりました。その分、アップデートが無料で、新機能がすぐに使えます。表示しているのは、利用期間が1年のタイプです。2年、3年版もあります。クラウド容量は1テラで、MacとWindowsの両方に対応し、2台まで利用できます。
なお、アドベのサイトには、それぞれのアプリの無料体験版や、私が利用しているフォトプラン(「Photoshop」+「Lightroom」+ クラウド容量20GBで、月額 980円)などががあります。
テクスチャー機能とは
現像画面の基本補正画面で、明瞭度の上に加わった新しい調整機能(スライダー)です。色や色調はそのままで、中精細度の部分のディテールを強調したりなめらかにしたりすることができます。全体補正だけでなく、部分補正として使うこともできます。
また、Lightroomだけでなく、Photoshop CCでも使えるようになっています。 「フィルター」の「Camera Rawフィルター」です。
Adobe によると、次のように説明されています。
肌の肌理(キメ)、樹皮、頭髪のような中精細度のディテールを際立たせたり、平滑化することができます。中精細度のディテールのみを抜き出して処理することで、ノイズの発生やボケへの影響なしに、毛穴のような高精細度のディテールを保ちながら(不自然に見えないように)肌目をスムーズにしたり、樹皮や頭髪のディテールを強調したりできます。
テクスチャー機能の開発担当リードであるマックス ウェント(Max Wendt)によるブログ記事(英語)によると、画像の色がRGBに分割されるように、画像は、さまざまな精細度(frequencies、周波数)に分割されるとしています。それは、高精細度のディテール( high frequency details)と中精細度の特徴( mid frequency features)、そして低精細度な領域(low frequency areas)です。
今回のテクスチャーの調整は、中精細度のみを選択的に調整し、ピントの合った緻密な部分やノイズ(高精細度)、ボケ(低精細度)はそのままなんですね。
ちなみに、画像の周波数というのは、強弱の信号の繰り返しを波としてとらえることです。例えば、高周波(高精細度)画像は、白黒の繰り返し幅が狭い画像のことです。
使ってみた印象
しばらく使っての感想です。具体例はこの後で。
・しっかりピントが合った緻密な部分(高精細度)やボケた部分(低精細度)はそのままで、ほとほどにピントが合った部分(中精細度)をソフトに又は強調します。
・全体の効果は明瞭度より穏やかで、+100と、最大にしても自然な仕上がりです。
・シャープネスのようにノイズが強調されることはありません。
・色や色調の変化はありません。
・特に、クリアな玉ボケのエッジの強調に有効です。写真にもよりますが、明瞭度での調整より効果的です。
・明瞭度の組み合わせが効果的です。
玉ボケのエッジもクリアに
写真は、2015年10月の撮影のブラック・スワン。秋バラで、夜に冷え込んだためか、細かくて繊細な露がかかっています。レンズの記録がないのですが、このボケ方は、 CONTAX Planar T*85mm F1.4 AEGで、ティルトマウント使用と思われます。
テクスチャーの調整
比較スライドショーです。中央のスライダーを左右に動かして、比較することができます。左の写真はテクスチャー未調整で、右がテクスチャーを+100にした写真です。
ほどほどにピントがあっていた玉ボケが強調され増えています。クリアな玉ボケのエッジも強調しています。いずれも、中精細度と判断されたようです。+100と、最大にしても自然な感じですね。ピントが合っていた部分やボケた部分は、ほとんど変化がありません。


拡大用の写真です。左がテクスチャー未調整で、右がテクスチャー+100です。


明瞭度の調整
比較のため、明瞭度を-100にした場合(左)と+100にした場合(右)です。テクスチャーより効果が大きいことがわかります。
マイナスにすると、ピントの合っている部分の繊細さは保持していますが、それはテクスチャーより狭い範囲で、全体をソフトにしています。
プラスにすると、全体的にコントラストが強くなり、はっきりした感じになります。玉ボケは全体に白く(明るく)なりますが、エッジはテクスチャーほどクリアになりません。


玉ボケのエッジの比較
玉ボケの部分を拡大してみました。左は、明瞭度+100,右がテクスチャー+100です。左は玉ボケの内部まで明るくなり、玉ボケの重なる部分が不明瞭になっています。右のほうが玉ボケのエッジがよりクリアで美しく見えます。
ヒストグラムの比較
ヒストグラムは、横軸が輝度(左端が輝度0%で純黒、右端が輝度100%で純白)で、縦軸がピクセル量を示しています。
テクスチャーの調整では、ほとんど変化がありません。写真の色や色調は変化しないわけですね。
一方、明瞭度-100では、明るい赤がカットされ赤の幅が狭くなり、明瞭度+100では、全体に山がなだらかになります。
そもそも、両機能ともヒストグラムを調整しているわけではありません。その変化は、元の画像の高中低の精細度の色がどこに分布しているかに依存します。
撮影例:つるオクラホマ
次は玉ボケのエッジがない例。つるバラのオクラホマです。霧吹きで水滴を作っているので、自然の露に比べて大粒です(笑)。2014年5月の撮影で、NEX-6 + E 30mm F3.5 Macroを使っています。
写真は、テクスチャーを+100,明瞭度を+40にしたもの。ピントの合っている部分だけ、特に水滴を自然に強調した写真としてみました。
次は、比較用に、テクスチャーなどは未調整の写真です。
テクスチャーの調整
左から、テクスチャーは-100(左)と+100にした場合です。
マイナスにすると、花びらをなめらかにしながらも、水滴の繊細さをある程度保持し、自然な感じにすることができます。
プラスの場合、焦点がほとほどに合っている部分の繊細さを強調しています。元々ボケている部分はほとんど影響がありません。こちらも、+100と、最大にしても自然な感じです。


明瞭度の調整
次は明瞭度を-100(左)と+100にした場合です。マイナスにすると、テクスチャーに比べて、全体的にソフトになります。また、プラスにすると、コントラストが強くなり、全体的にメリハリが効いた感じにます。


ヒストグラムの比較
比較のため、未調整のヒストグラムのうち、一番色の多い赤のヒストグラムを紫色でそれぞれに加えています。
比べてみると、明瞭度+100で、全体に山がなだらかになっていますが、他は未調整とほとんど変わりません。
ヒストグラムの変化:比較のため、調整なしの赤のヒストグラムを紫色で重ねています。
他のバラでも
こちらはピェール・ド・ロンサール。テクスチャーを+100,明瞭度を-20,コントラストを+20にしています。2014年5月の撮影で、NEX-6 + E 30mm F3.5 Macroを使っています。
次は、ニコロ・パガニーニ。2018年5月の撮影で、レンズは、 SONY FE 90mm F2.8 Macro G OSS ですが、手持ちなのでちょっとぶれてます。細かい水滴をはっきりさせようと、テクスチャーを+100、明瞭度を-10などに調整しています。
人工的な光源の玉ボケ
富山市内の環水公園で、 トリオプラン(New Trioplan f2.8/100)での撮影です。
最初は、テクスチャー+100で。多少エッジが強調され玉ボケが増えていますが、未調整とほとんど変化がありません。人工的な光源でピントの合っている部分がなく、エッジが十分強調されているので、自然な仕上がりにならないのかもしれません(笑)。
左は未調整で、右は明瞭度+100にした場合。コントラストが強くなり、玉ボケの数が増えています。


最後に
テクスチャーを調整すると、色とかを変えずに、中精細度の部分を、より自然な形で、ぼかしたり、逆に繊細さを強調したりできます。どちらかというと、緻密さを強調するのに使えそうですね。最大値(+100)に動かしても、玉ボケのエッジはクリアで自然な感じに仕上がります。
逆に、ソフトに調整するのは、女性の肌に効果があるようです。その具体例は、また別の機会に(笑)。
しかし、明瞭度やかすみの除去といった他にも修正できるツールがあるので、いろいろと調整が面倒になりますけどね(笑)。